洋服の生地の種類を特徴別に解説!寒い冬に使いたい温熱素材も紹介
そこでこの記事では、洋服の生地の種類を特徴別に解説。さらに2022年に人気の生地や季節別の生地の種類、冬にとくにおすすめしたい生地もご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。
目次
服の生地素材の種類は豊富! 分け方は?
服の生地のもとになる素材・繊維の種類は多種多様ですが、その分類は2通りです。天然素材から作られた天然繊維
天然繊維とは、植物の繊維や動物の羽毛などから得られる繊維のことをいいます。代表的な植物繊維が、綿や麻です。動物繊維には、絹や羊毛、アルパカやカシミヤなどがあります。人工的に作られる化学繊維
化学繊維とは、人工的に作られた繊維のことをいいます。化学繊維は以下のような種類があります。- 合成繊維
- 半合成繊維
- 再生繊維
私たちの身の回りに多い化学繊維は、ポリエステルやナイロンといった合成繊維です。
服作りでよく使われる代表的な生地の種類
続いて服作りで活用される主な生地のもとになる素材の種類を解説します。それぞれの素材の特徴を把握して、用途に合ったものを選びましょう。肌触りがよくなじみ深い「綿(コットン)」
綿は木綿という植物の種からとれる「種子毛」です。木綿の種の中にはフワフワとした綿が入っています。この綿を紡いで糸にして、糸を折って生地にするのです。【綿の特徴】
- 吸水性、通気性がよい
- 手触りが柔らかい
- 熱に強い
- 縮みやすくシワが生じやすい
- 長時間日光にさらすと黄色く変色する
【綿に向いている衣服など】
- 下着
- シャツ
- ハンカチ
強くシワになりにくい「ポリエステル」
ポリエステルは、三大合成繊維のひとつです。ポリエステルの原材料は石油・石炭・天然ガスから作られたポリマー。ポリマーを溶かして線維化したものがポリエステルです。【ポリエステルの特徴】
- 吸湿性が低い
- シワが生じにくい
- 型崩れしづらい
- 丈夫で強い
- 乾きやすい
- 静電気が起きやすい
- 汚れが落ちにくい
- 価格が安い
- 天然素材を真似た形状にできる
【ポリエステルに向いている衣服など】
- ドレスなどのフォーマルウェア
- スポーツウェア
- 学生服
- 裏地
- Tシャツ
- ワンピース
世界初の合成繊維「レーヨン」
レーヨンは化学繊維のうち、再生繊維に分類されます。レーヨンの主原料は木材パルプです。木材に含有されるセルロースを取り出して化学薬品にし、液状にしたものを繊維にしています。レーヨンは世界初の化学繊維。人工絹糸と呼ばれることもあります。【レーヨンの特徴】
- 吸湿性、吸水性が良い
- 美しい光沢がある
- 染色性が良い
- 水に弱く縮みやすい
- 強度が低く引っ張りに弱い
- 洗濯機での洗濯に向かない
【レーヨンに向いている衣服など】
- 裏地
- スカート
- ワンピース
- 下着
- カーテン
- カットソー
ウールによく似た合成繊維「アクリル」
アクリルはポリエステルとナイロンと並ぶ世界三大繊維のひとつであり、ウールを目指して作られた化学繊維です。ポリエステルと同様に石油、石炭、天然ガスを原料として線維化されました。【アクリルの特徴】
- ウールやカシミヤ、モヘヤに近い風合いが出せる
- 暖かい触り心地
- 強度が高い
- 害虫やカビに強い
- 洗濯後、乾きやすい
- 毛玉が生じやすい
- 静電気が起きやすい
- 汚れやすい
【アクリルに向いている衣服など】
- カットソー
- セーター
- 手袋
- ぬいぐるみ
さわやかな手触りの天然繊維「麻(リネン)」
麻はアサ科アサ属の植物から作られた植物繊維です。リネンやラミー、ジュート、ラミーといった種類の植物から作られた繊維を「麻」と総称しています。【麻の特徴】
- 吸湿性、発散性がよい
- 非常に強い
- サラサラとした爽やかな手触り
- 上質な光沢がある
- 土に分解されやすい
- 毛羽立ちやすい
- シワになりやすい
- 変色しやすい
【麻に向いている衣料など】
- 夏物のアウターやトップス
- ワーキングウェア
- ジャケット
- バッグ
- スカート
- コート
美しく世界中で愛される「絹(シルク)」
絹はカイコガの幼虫である蚕が作った繭を、ほぐして取り出した生糸で作られた繊維です。絹は個々東西、高級繊維としてドレスや和服、ブラウスなどに使われています。【絹の特徴】
- 上品な光沢がある
- 肌触りが素晴らしい
- 吸湿性がよい
- 保温性が高い
- ドレープ性がある
- しわになりやすく毛羽立ちやすい
- 石鹸などで洗えない
- 紫外線で変色する
- 高価である
【絹に向いている衣料など】
- 和服
- ドレス
- フォーマル
- ネクタイ
- スカーフ
- ブラウス
羊の毛から作られる「羊毛(ウール)」
羊毛は羊の毛を洗って紡績した糸から作られます。古くから世界中で羊が飼われ、その体毛が衣服に使用されています。【羊毛の特徴】
- 冬は暖かい
- 撥水性に優れている
- 汚れにくい
- 型崩れしにくい
- 吸湿性がよい
- しわになりにくい
- 毛玉がつきやすく、縮みやすい
【羊毛に向いている衣服など】
- セーター
- 毛布
- 手袋
- 帽子
- マフラー
ゴムのように伸びる「ポリウレタン」
ポリウレタンは石油、石炭、天然ガスを原料として作られています。ゴムのようによく伸び、ゴムより強く高い強度を誇る素材です。【ポリウレタンの特徴】
- 伸縮性を持つ
- 発色が良い
- 耐久性が高い
- 軽い
- しわになりにくい
- カビなどに強い
- 摩擦に弱い
- 日光に長時間あてると強度が落ちる
【ポリウレタンに向いている衣服など】
- 水着
- スポーツウェア
- 合成皮革
2022年に人気を集めている生地の種類は?
2022年のトレンドはズバリ「光沢感があるサテン」と「クラシカルなツイード」そして「透ける素材」です。それぞれの特徴を持つ生地をピックアップしました。トレンドを取り入れた生地を探している方はぜひ参考になさってください。サテン織りに向いている生地素材
サテン織りは、糸の織り方の一種です。サテン織りに向いており、2022のトレンドでもある光沢がある素材がこちらです。- 絹
- 綿
- ナイロン
- ポリエステル
クラシカルなツイードに向いている生地素材
2022年秋冬はクラシカルな織物「ツイード」が人気。ツイードを織る際はウールを使っていましたが、今はさまざまな生地素材でツイードが織られています。またツイードはその織り方によって、ハリスツイードやライトツイードなどの種類があります。現在トレンドのツイードのポイントはクラシカル。伝統的なハリスツイードやシェットランドツイードのような柄のツイードを選ぶとよいでしょう。【ツイードに用いられる生地素材の種類】
麻
綿
絹
各種化学繊維
透ける素材に向いている生地素材
春夏から継続しているトレンドが透ける「シアー素材」です。代表的なシアー素材の生地はレースやオーガンジーなど。レースは綿やポリエステル、ナイロンや麻などで作られます。オーガンジーは、元々絹が主に使用されていましたが、現在はポリエステルやレーヨンなども使われています。使用シーンや季節別!使用される生地素材の種類
続いて使用シーンや季節別の使用される生地の種類を解説します。「こんな服を作りたいんだけど、どの生地素材を選べば?」と悩んでいる方はぜひ参考になさってください。激しい運動にも耐えられる生地素材の種類は?
運動に向いているのはポリエステルとポリウレタンです。ポリエステルは非常に強く弾力性があるため、激しい運動でも破損しにくい特徴を持ちます。またゴムのように伸びるポリウレタンもスポーツウェアに向いています。ゴムのように伸びてゴムよりも強いため、伸縮性があるスポーツウェアに最適です。
春・夏・秋に向いている生地素材の種類は?
春、夏、秋に快適に過ごせる生地素材は綿、麻、絹、レーヨン、ポリエステルです。暑い季節は吸湿性や通気性が優れている繊維が向いているため、綿や麻、絹やレーヨン素材の衣服を着用すると心地よいでしょう。 ポリエステルはカビや湿気に強いことから、高温多湿の日本の夏でも質感を損なうことなく保管できます。寒い冬に向いている生地素材の種類は?
寒い冬でも快適に過ごせる生地素材の代表選手がウールやアクリルです。とくにウールは古くから防寒着に使用されており、抜群の保温性を誇ります。ただし洗濯などの取扱いが難しいため、近年ではウールのような保温性を持ちながら扱いやすいアクリルが人気を集めています。
冬におすすめ!新しい温熱素材とは?
長い人類の歴史の中で、さまざまな生地素材が生まれてきました。生地素材は人々が快適に暮らせるように日々進化し、生地の織り方を工夫して機能を持たせたものや、素材自体を新たに生み出すものまで、その進化は多岐にわたります。近年は生地素材自体が発熱する温熱素材の開発も盛んです。安全性と快適性を兼ね備えた次世代の温熱素材「CNTフィルムユニット」もそのひとつ。電流を流すことで発熱するカーボンナノチューブで作られたCNTフィルムユニットは、従来の保温性が高い素材とは比較にならないほどの心地よさを提供してくれます。
CNTフィルムユニットとは? その特徴を解説
次世代温熱素材のCNTフィルムユニットは、どのような特徴を持つのでしょうか。具体的な特徴を解説します。面状発熱・瞬間発熱
CNTフィルムユニットの大きな特徴は、生地全体に織り込まれたカーボンナノチューブによって一端に電流を通しただけで、全面が瞬時に発熱するというもの。従来の電熱線が織り込まれた素材は、設定温度に達するまでに時間がかかっていましたが、CNTフィルムユニットは最短1秒で暖かくなります。
超軽量・圧倒的な薄さ
CNTフィルムユニットは1㎡あたりの重さはわずか5g。発熱素材の中では圧倒的な軽さです。また厚さは5μmと通常の衣服に用いられる素材と遜色がありません。着心地の良さや快適さを保ちながら、暖かさを手に入れられます。水洗いできるヒーター・折り曲げ耐数10万回以上
CNTフィルムユニットは水洗いが可能です。「一部だけ手洗いしなければならない」といった従来の温熱素材とは一線を画しています。また電熱線とは異なり、折り曲げても断線するリスクがありません。断線による火災リスクなどを恐れることなく、普段使いできる素材です。まとめ
衣服の生地を作るために必要な生地素材は、その原材料によって天然繊維と合成繊維に分類できます。天然繊維・合成繊維とも日々進化しており、私たちの衣服は快適になりました。近年では発熱する素材も人気を集めており、冬の寒い時期でもぽかぽかと暖かく暮らせるようになっています。衣服の生地素材を選ぶ時は使い道に合わせて最適なものを選びましょう。